WEB only
09/11/18
●二人の出会いはいつ頃なんですか。
勇太 出会い……えーっと、初めは友達だよね。
荒井 僕ら、共通の友達がいるんですよ。その子が(勇太と)同級生で。僕らはちょうどその頃ACBとかでやらしてもらえるようになった時期で。
勇太 俺そん時ACBで働いてて。で、あるライヴの時にベースの原がCD持ってきてくれたんですよ。で、それ聴いてびっくりして誘ったのが初めだったのかな。
荒井 そうだね。で、最初の頃ハワイアン6とよく対バンさせてもらってたんですよ。
勇太 でも俺、昔なんかバンアパに「ライヴもっとこうしたほうがいいよ」とか言ったことがある(笑)。「音がこうだから、キレイにライヴやるんじゃなくて、もっと激しくやったほうがいいよ」とか。なんか急に思い出したけど、何様だよって話ですよね、今思うと(笑)。
荒井 でも俺それ覚えてるわ。
勇太 俺、昔から偉そうなんですよね。恥ずかしい……すいませんでした(笑)。
荒井 偉そうじゃないんだよ。自分でこうだって思うと、こう(視野が狭くなる)なるタイプなんだよ。
●勇太さんが、思い込んだら他が見えなくなって突っ走ってしまうタイプだって、畑野さんもよく指摘しますよね。
勇太 いわゆるB型。興味があるとそこにしか行けない。他のこと全部生返事みたいになっちゃう(笑)。
荒井 ほんとそういうタイプ。「好きなものは好き。だからこれでお願いします!」みたいな。音楽でも何でも、多分そうなんじゃないかな。今凝ってるモノとかも。これが好きって思ったらこれしか買わないみたいな。
勇太 そうですね。ほんと。曲作っててもノリだすと、自分でも「今すごい集中力だなぁ」と思うことが多々あって。そういう時はいいんですけど、でも自分的には悪いことのほうが目に付くんですよ。たとえば『BEGINNINGS』の時に音楽性がすごくブレたことがあったんですけど、それも僕がプログレにハマっちゃって、そん時もこう(視界が狭い状態)だったんで。そういうのが悪い方向に行ったんだなって。
●でも、そういう性格がバンドやヴォーカル・スタイルに反映されるんだろうなって思います。
荒井 絶対ありますよね。僕らはそんな、ガーッてストイックにやるバンドじゃないけど。
勇太 でも最初に聴いた時ほんとびっくりした。さっき言った原がくれたCD、デモのCDでしたけど、正直最初は友達の友達がやってるバンドだからっつって、ナメてたんですよ。でもCDを聴いた時にほんっとびっくりして。聴いたことないし……雑な表現ですけど、J-WAVEっぽいなと思ったんですよ。
一同 (爆笑)。
勇太 たぶんあのジングルの、ボサノヴァっぽいふわっとした感じが(笑)。で、これ外人なのかな、すげぇカッコいいなって。
●今となればお互いのバンドの個性はハッキリしてますけど、当時は他にないもの、他と違うことを一生懸命模索していたという感覚だったんですか。
荒井 大手を振ってそれを宣言することはなかったですけど、やっぱり年齢的にもツンツンしてるし、そういう気持ちは大いにあったと思いますよ。なんかやってやりたい、っていう気持ち。具体的に他と違うことが何なのかわかってないんだけど、結果そうなっていくモチベーションというか、その原動力は当時絶対あったんじゃないかと思うんですよね。ウチらも、ハワイアンも特に。
勇太 ウチはそうですね。「普通にやっててももう面白くないね」って話してて。一生懸命探してた感じはあるかもしれない。自分たちらしいことっていうか、一番何が面白いと思えるんだろうって。そういう時期って必死だしね。
荒井 うん、まぁどのバンドもきっとそうだと思いますよ。
勇太 しかもウチ、周りから結構批判されまくってたからね。自分らがいいと思える曲、まぁいわゆる暗い曲をやってたら、周りのバンドとかライヴハウスの人は「ほんと暗いよねぇ」って。それが褒め言葉とは思えなかったけど、でも実際自分たちがこれでいいと思ってたし、それがカッコいいと思ってたから。まぁいいや、っていうか、信じるしかないよね、ってところでやってましたから。でも初めってそうじゃない?
荒井 そうかもしれないね。俺らも「オシャレっぽいね」とか言われてて、それが褒め言葉なのかどうなのかよくわからないし。やってる奴らをよく見てみろ、っていう(笑)。そんなオシャレさ、当時誰も持ってなかったと思うけど(笑)。
勇太 ははは、わかる。でも俺当時からバンアパはファン目線だったから、何やってくれんだろうって毎回思ってた。当時は個人的にフットワークも軽かったから、よくレコーディングとか行ってたよね。
荒井 あぁ、来てたよね。レコーディングだけじゃなくて、プリプロにもいたし。
勇太 なんかしら茶化しに行ってて、当時から普通に好きなバンドっていうか。
●そういう初期の交流を経て、バンドの印象が大きく変わった、認識を改めた一枚っていうのはありますか。
荒井 もちろん好きな曲と好きな作品はいっぱいありましたけど、ハワイアン6の力っていうのに圧倒されたのはやっぱり『SOULS』。あの作品が出た頃の、グワーッていうエネルギーがすげぇなって。その印象はすごいある。俺からしたら、ハワイアンって昔から人気のあるバンドで、でもその周りに友達のバンドがいっぱいいて、みんなでツルんでワーッとやってる印象でしたけど。でも、あの時にいよいよ爆発したなって。そのツアーに俺ら呼んでもらって何本か一緒にやったんだけど、ほんと爆発してるのを目の当たりにして。もうジェラシーもできないくらい圧倒されたっていうか。
勇太 ……完全呑まれてたけどね、俺ら(笑)。急激に変わったから、あの時。
荒井 本人たちはわかんないだろうね。隣で、俯瞰で見てるとすごかった。しかも勇太、いつも喉痛めてて、ほんとギリギリ、いつも限界でやってんだなって。本数もすごかったですし。そういうバンドの張り詰めた雰囲気って当時から変わらなかったから。
勇太 でも、そういう時期があって、僕らのほうが先に認識されたっていうのは実際あると思うんですけど、バンアパはその後からどんどんデカくなっていって。なんだっけ、一回ツーバンで学園祭出たんだよね。僕ら一回しか学園祭出たことないんだけど。
荒井 謎のツーバン(笑)。あの主宰の人、よく呼んでくれたよね。
勇太 そうそう。そん時は確か僕らが先にやって、バンアパがトリで。
荒井 逆だろ、って俺思ってた。
勇太 でもそん時に、ほんとこのバンドすげぇことになってきたなぁって思った。もちろんいいっていうのはずっと前から知ってたんで、やっと世間が付いてきたか、みたいな。
●今ではお互い、いいライバル関係って感じなんですかね。
荒井 ライバルじゃないよね?
勇太 ない。チーム、みたいな感じなのかなぁ。ほんと、細かい話で言えば「歌う時にこうやってアップするといいよ」って教えあったり「喉にはこの飴がすげぇいいよ」とか。いろんなものを共有してるんですよね。ギターにしても、曲作りに関しても、そういうふうに共有してる感覚があるし。だからライバルっていうのとは違うよね。
荒井 ライバル同士が感じるであろうジェラシー、みたいなものは俺一切感じないですからね。いいライヴやってたら「チクショー、かっけぇなぁ、あいつ」っていうんじゃなくて「うわぁ、いいわ」って素直に思う。「いいわ、って言おう」って思えるし。
勇太 俺もバンアパのいいライヴ観たら、横で一緒になって歌ってますからね。やれやれ、みたいな。だから身内じゃないけど、そういう感覚のほうが強いんでしょうね。
安野勇太(Hawaiian6)×荒井岳史(the band apart)
indies issue vol.48(2009年11月28日発売)で行った対談記事があまりに盛り上がり、誌面では載せきれなかった分をここで紹介します。誌面にはこの二人のメインの対談記事ほか、ハワイアン6の記事が10ページにわたって特集されています。
取材・文 石井恵梨子
写真 橋本 塁
indies issue vol.48
(2009年11月28日発売)
11月4日 IKKI NOT DEADにて